序
企業経営の真髄は開拓者魂にある。
といえば、現代の経営者として誰の目にもまず浮かぶのが、今は亡き・井深大さんではなかろうか。「未来は自分たちが創り出していく」「世界に無いものを」と言い放っておられた井深さん、ソニーは巨大企業のモルモットだとの世評などどこ吹く風、「新」を次々と世に送り出して〝世界〞を変えてきた。はや50年まえにはポケットに入れて持ち歩くテレビを着想、もしご健在であったならば察するに、スマートフォンなどは疾うに事業化されていたことであろう。
井深魂は経営の万般にわたる。
一例をあげれば、「マネジメントも人のやらないことをやっていく」。小林茂さん(ソニー・元常務取締役)はその規範を「無の経営」と称していた。
それを具現化させえたものが、井深さんの「人」に対する眼差し であった。「企業は人なり」がありふれたお題目と化している世相 の中で、井深さんは「( 経営において)人以外は付け足しだ」とまで極言しておられた。部下たちにとっては、井深さんの思いへの 挑戦はさぞかし快であったことであろう。
その姿形をソニー内で色濃く現わしていた部署の一つが厚木工場206頁※1であり、ソニー外でその〝血〞を受け継いで今なお前進しているのが組織革新研究会(公開)同※2である。
この「語」の選の経過および選者の方がたについては巻末同※3に記した。ここにお礼を申しあげる。
この『100語』が、日本の明日を背負う企業人に寄与すること大であることを確信してやまない。
2015年4月
編者 藤田英夫
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