ハンディ版・序
この書は、約50年まえに発刊されて50刷りを重ねた『創造的経営/その実践的探求』を今日的視点に拠って復刻したハンディ版である。燦々としたかつてのソニー、その厚木工場大変革のドキュメントであり、同時に「人と組織」を変革するマネジメントを追求するものである。
同社のトランジスター生産拠点として2000人を擁し、いくつもの難題を抱えていた厚木工場の再生に、社長(当時)の井深大さんによって他業界からスカウトされ、取締役工場長として着任したのが、この著者である小林茂さんであった。
難題の核心は偏に人びとの「その気」と「意識」にあると睨んだ小林さんは、ソニー創業者・井深さんと盛田昭夫さんの「無の経営」精神、井深さんの「人以外は付け足しだ」理念の下、人びとのそれとの闘いに終始する8年間を送る。
その発想とやりかたは、主流となって常識化されていた経営学やマネジメントとはおよそ正反対のものばかりであって、本人もそう公言してはばからなかった。それはこの国の数多くの経営者たちに変革意識を沸き起こし、その具体策の影響を受けなかった
企業はないと言われるほど、日本の産業界に一大センセーションを巻き起こしたのであった。それも国内に限らなかった。英語版『CREATIVE MANAGEMENT』となって米国のAMA
277頁※1から出版され、世界に向けての日本企業におけるマネジメントの輸出第一号
ともなったのであった。
この一大変革の巨歩を〝種火〞とし、同時に「たたき台」として、さらに普遍の「人と組織」変革の途を探求すべく、小林さんをキャンパスリーダーとして創設されたのが、いまは私がその任を務めるる組織革新研究会同※2である。
2015年4月
小林茂さんを師として 藤田英夫
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